なぜ宇宙人は地球に来ないのかと

「竜馬がゆく」を読み終えた後何も読むものがなかったので、前に買って積んどいたこんな本を読んだ。
「なぜ宇宙人は地球に来ない?」笑う超常現象入門 (松尾貴史 著 PHP新書)

昔は「キッチュ」と名乗っていたタレントの松尾貴史が雑誌「モノ・マガジン」に連載してた「超常俗物図鑑」を元に加筆・修正して単行本化したもの。なぜかamazonでリコメンデーションされ、タイトルに惹かれて買っておいた本だ。

内容は超常現象に懐疑的な松尾が様々なテーマに対して冷静かつ皮肉的に切り込んでいくもの。目次を拾うと「宇宙人−いたとしても地球には来ない」「ミステリーサークル−意外と簡単に作れます」「念写−なぜ社会の役に立とうとしない」「サイババ−全知全能なのに手術は手品」などなど。他にも「ナスカの地上絵」「ESPカード」「透視めがね」「ピラミッドパワー」「ヒランヤ」「パワーストーン」「心霊写真」など、片っ端から怪しいモノをぶった切ってくれる。

当然僕も懐疑派なのだが、昔から漠然と感じていた思いを明快かつ論理的に説明してくれるので気持ちがいい。多少編集者の手が入っているとしても、松尾貴史の知識と文章力はたいしたものだ。頭の良さが文章から伝わってくる。

面白かったけど、2回読む本ではない。興味がある人がいれば差し上げます。

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「竜馬がゆく」読了

司馬遼太郎「竜馬がゆく」文庫本全8巻を読み終えた。

確か、5回目か6回目。最後に読んだのは10年以上前だと思う。NHKの大河ドラマ「龍馬伝」が始まったのを機に読み返してみたのだが、やっぱりいい。架空の登場人物もいるものの伝記的色合いが強く、「龍馬正史」という趣だ。wikiなんか読むと史実と違う面がたくさんあることに気づくんだけどね。例えば「北辰一刀流免許皆伝」というのも実は薙刀の免許だったりして。。

でもやっぱり僕は「竜馬がゆく」原理主義だな。先々週の「龍馬伝」にあったような、吉田東洋が龍馬を取り込もうとしたエピソードなど受け入れがたい。状況から考えて接点はなかったとするのが適切だと思う。加尾との悲恋物語は女性視聴者向けの味付けとして分かるんだけど、メインストーリーはあまり脚色して欲しくないなと。同じく「竜馬がゆく」ファンの孫さんは受け入れているのかな?

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「楊家将」(北方謙三 PHP文庫 上下巻)

知らなかったけど、「三国志」「水滸伝」と並ぶ中国の三大奇書のひとつらしい。

日本での知名度が全然無いのは今まで「書き手」がいなかったから。先入観をまったく持たずに読めたのが良かった。やっぱり北方はすごい小説家だ。オリジナルに縛られなければここまで面白く書ける。遠慮がちに書いていた「三国志」とは違って、もはや北方オリジナルと言ってもいいくらい。

物語は宋の時代。武将として遼と対峙する楊業と7人の息子たち。楊業は「水滸伝」に出てくる青面獣・楊志の祖先とされる人物で、「吹毛剣」をつくったとされている。(最も吹毛剣はこの小説には登場しないのだが・・)「水滸伝」で男の死に様を書いた北方だが、この小説では何を書きたかったのか。政略・謀略が渦巻く政治の中で、純粋に武将たらんとした楊業の生き様は読んでいて気持ちが良かった。

今、続編となる「血涙・新楊家将」を読んでいる。最初から大胆な設定を見せつけられ度肝を抜かれた。これも上下巻なのですぐに終わってしまう。早く長編の「楊令伝」が文庫化されないかな。。

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「風の歌を聴け」(村上春樹 1979年)

読んだ。でもはっきり言ってよく分からない。。

そもそもこれは小説なのか、と。「僕」という一人称で語られているため村上自身の体験に基づいているのだと思うが、それなら「日記」じゃないの?アメリカの作家の話とかいろいろ出てくると「エッセイ」なのかと思ったり。司馬遼太郎と北方謙三を愛してやまない僕的にはこれを小説として受け入れられない。

面白くないことは、ない。本が薄いこともあって1時間ちょっとで読み切ってしまった。次の展開を期待してページをめくっていったのだが、結局、期待したような展開はなく終わってしまった。大体、絵でも写真でも写実が好きな方で、抽象画はまだしも前衛となるとまったく理解できない。「回りくどいこと」が嫌いなので、比喩だとか暗示だとかいわれても納得できない。「小指のない女の子」は何を意味をしているのか。

本屋で手に取ったとしても村上春樹の本でなければ買わないだろう。申し訳ないけど、僕の知的レベルでは無理でした。誰か村上春樹のファンで導いてくれる人、いませんか?続編となる「1973年のピンボール」を読むかどうか迷っている。。

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「赤めだか」 立川談春

評判になっていたので読んでみた。

久々に買ったハードカバー。出張の行き帰りに読むので基本的に文庫本しか買わないのだが、我慢できなくなってamazonで購入。カバーも掛けられないし、やっぱり持ち運びが不便だ。

立川談志の弟子となった17歳からの物語。さまざまなエピソードと弟子時代の苦労話がとても面白い。タイトルになった「赤めだか」の話も出てくる。「京の噺家」桂米二といい、落語家の書いたものは何でこんなに面白いんだろう。書いていると言うより、話しているみたい。落語の語り口とは違うんだけど、味がある。

本は分厚いけど中身は少ないので、真剣に読めば2時間程度で読めると思う。お薦め。

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