4月の事故の件でついに裁判所の証言台に立った。
もちろん、生まれて初めて。10時に弁護士の事務所へ行き、そのまま地方裁判所へ。受付も何にもなく、控え室に入る。 ここで弁護士と雑談。別に裁判の作戦を練っていたわけではない。単に世間話していただけ。これで緊張感が多少とぎれた。しばらくすると黒い裁判服?を着た人(後で分かったけど書記官らしい)が部屋に入ってきて、宣誓書にサインを求められた。時間となり、法廷に入ると相手はすでに着席していた。
裁判官から見て向かって左側に「原告」の僕、右側に「被告」の相手が座る。裁判官の前にさっきの書記官がいて、右手にもう二人男性が座っていた。(これも後で分かったけど「審議員」という人らしい) 傍聴席にも一人男性がいたが、いったい誰だったんだろう? とにかく、何の説明もないので誰が誰だか分からなかった。
裁判の冒頭で宣誓文を読まされた。「嘘をつかない。何も付け加えない」という趣旨のものだが、これを被告と二人で唱和させられた。いい歳したオッサンが二人で声を合わせるのは気持ち悪い。ましてや原告と被告という立場で共同作業をさせられるのは違和感があった。なんかおかしいぞ、日本の裁判。
さて、裁判はまず被告に対する弁護士からの質問から始まった。当時の事故の状況やなぜその道を通ったかなど、事実関係を確認していく。話の内容に違和感はなかったが、まっすぐ行けばいい道をわざわざ一度下に降りてまた登っていくことに対しての理由はイマイチよく分からなかった。
自分の弁護士からの質問が終わると、今後は相手方(僕)の弁護士からの質問となる。刑事裁判なら検察官の役割だ。さすがに僕の担当弁護士はポイントを突いて的確に質問を行い、相手が「まったく前を見ていなかった」という点を認めさせることができた。また、事故直後に僕の車が追い越して前に割り込んだと警察官に話した件については、「反省しています」と自ら否定した。
次に僕に対する弁護士からの質問。こちらも僕の主張を巧みに引き出してくれて言いたいことが言えた。「ブレーキを踏んで減速し、ウインカーを出して一次停止したところにぶつけられた。これ以上何をすれば良かったのか」 そして、相手方弁護士からの質問。30代くらいのメガネをかけた「いかにも」というヤツだ。少し甲高い声がカンに触る。こいつは何とかして僕の過失をほじくり出そうとして質問してくる。
弁「ウインカーを出したのはもっと先だったのではないですか?」
僕「いいえ、違います。左折した直後に出しました。」
弁「右に回り込む時、ウインカーは戻りますよね。左折しようとした時はウインカーは出ていなかったんじゃないですか?」
僕「右に回ってウインカーが切れた後、すぐに左折のために左にハンドルを切るのでその時またウインカーを入れました。切れていた時間は一瞬です。」
などといちいちこちらの証言を否定してくるので、それを全部論破した。
最後に審議員から、「後方の車に注意していましたか?」と質問されたので、「左側面や左後方ならともかく、真後ろにいる車にどう注意を払えばいいのですか?」とやり返した。また、「あなたも一時停止ラインで停止していませんね」と言われたので、「そのラインで一時停止しても安全確認ができない。私は左折するために安全確認できるところで一時停止している」と反論した。
裁判が終わり、僕の担当弁護士は審議員の質問に対して「この事故の本質ではない」「素人が増えて困る」とこぼしていた。あとで裁判官に「申入書」を入れるらしい。最近、この手の裁判でひどい判決が出ていて困っているとも言っていた。素人の僕から見ても、最後の質問は何の意味があるのかと思う。そもそも前を走る僕ではなく、相手が一時停止していればこの事故は起こっていない。また、もし審議員が言うように僕が停止ラインで一次停止していれば、モロに追突されただろう。なんせ相手は「まったく前を見ていなかった」のだから。そうなると僕は身構えることもできずに頭をフロントガラスに突っ込んでいたかもしれない。審議員はそこまで想像して質問しているのだろうか?
どうも裁判全体の雰囲気として、100対0みたいな極端な判決を出したくないという意志を感じた。「あなたにもそれなりの過失があったんでしょう」的な話が見え見えだ。被告に対しては何も質問しなかった審議員は、僕にばかり過失を認めさせるような質問を行ってきた。全部やり返したが、それを裁判官はどう感じたか。停止ラインについては、「左折する車は誰もそこでは止まっていない。行政はもっと実態を見て位置を設定して欲しい」とまで言ってしまったからね。「生意気な反体制論者」と思われたか。ひょっとしてこの裁判、負けるかも。。。